カーナビは、目的地を入れるところから始まる。
当たり前のことだけど、
「どこかいいところに行きたい」
と入力しても、案内は始まらない。
東京駅。
成田空港。
近くのレストラン。
行きたい場所を決める。
そこで初めて、現在地から目的地までの道が表示される。
何kmあるのか。
どの道を通るのか。
どこで曲がるのか。
何時ごろ着くのか。
目的地が決まった瞬間、それまで何もなかった地図の上に一本の道ができる。
考えてみると、目標も少し似ている。
目標も、まずは自分がどこへ行きたいのかを決めるところから始まる。
プロ野球選手になりたい。
スペイン語を話せるようになりたい。
自分のお店をつくりたい。
行きたい方向はたくさんある。
でも、
「野球が上手くなりたい」
「スペイン語が上手くなりたい」
「何かすごいものを作りたい」
だけだと、方向は分かっても目的地がよく分からない。
カーナビで言えば、
「北の方へ行きたい」
くらいの状態だと思う。
北へ走ることはできる。
でも、どこまで走れば着いたことになるのか分からない。
途中で道が分かれても、どちらへ行けばいいのか判断できない。
だから、目標を作るときは、なるべく目的地が分かるようにする。
「スペイン語を上達させる」
ではなく、
「DELE B2に合格する」。
そうすると、少しだけ目的地の輪郭が見えてくる。
でも、目的地は誰が決めるのか
カーナビには、もう一つ当たり前のことがある。
目的地を決めるのは、カーナビではない。
自分だ。
カーナビは、東京駅にも連れて行ってくれる。
海にも連れて行ってくれる。
空港にも連れて行ってくれる。
でも、
「あなたは今日、ここへ行くべきです」
とは決めない。
目標も同じだと思う。
自分はどこへ行きたいのか。
そこを自分で決めないといけない。
目的地が決まると、途中が見えてくる
目的地を入れると、カーナビは現在地との間にルートを作る。
目的地が遠ければ、途中にはいろいろある。
高速道路に乗る。
インターを降りる。
交差点を曲がる。
場合によっては、途中で休憩する。
車を運転しているとき、ずっと最終目的地だけを見ているわけではない。
「300m先を右折です」
と言われたら、まず300m先を右に曲がる。
その次は、
「2km直進です」
と言われる。
それを繰り返していく。
目標も、同じだ。
たとえば、
DELE B2に合格する
という目的地を決める。
でも、いきなり「B2に合格する」を今日の予定にはできない。
その途中に、
B2レベルの作文を書けるようになる
という目標を立てる。
そのために、
主要な作文形式を書けるようになる
という目標を立てる。
さらに、
火曜日と木曜日に作文を書く
まで下ろす。
すると、
「DELE B2に合格する」
という遠い目的地と、
「今日、作文を書く」
がつながる。
目的地があるから、途中で何をすればいいのかを考えられる。
数字は、住所みたいなものかもしれない
目標を立てるとき、
「数字を入れた方がいい」
とよく言われる。
確かに数字は便利だ。
「痩せる」より、
「5kg痩せる」。
「走れるようになる」より、
「5kmを30分以内で走る」。
「スペイン語を勉強する」より、
「DELE B2に合格する」。
どこまで行けばいいのかが分かりやすくなる。
カーナビで言えば、住所を詳しく入力しているようなものだと思う。
「東京」だけより、
番地まで分かった方が目的地は明確になる。
でも、住所が詳しいからといって、その場所が正しいとは限らない。
「フォロワー1万人」
「月収100万円」
「TOEIC900点」
数字が入れば目標っぽく見える。
でも、
なぜそこへ行きたいのか。
その数字の先に何があるのか。
そこが分からなければ、目的地の住所だけを綺麗に入力していることになる。
数字は、目的地をはっきりさせてくれる。
でも、目的地そのものを決めてくれるわけではない。
道を間違えたら、再検索すればいい
カーナビで道を一本間違える。
「あ、曲がるところ過ぎた」
となる。
でも、カーナビは怒らない。
「あなたは計画通りに進めませんでした」
とも言わない。
少し待つと、
新しい道を探してくれる。
目的地が変わっていなければ、別の道からそこへ向かえばいい。
これも、目標に似ている。
最初に立てた計画通りに進まないことは当たり前。
毎朝勉強すると決めたけど、続かなかった。
今年中に達成するつもりだったけど、間に合わなかった。
この方法が一番いいと思っていたけど、やってみたら違った。
そんなとき、計画から外れたこと自体を失敗にする必要はない。
別の道を探せばいい。
朝が無理なら夜にする。
週5回が無理なら週3回にする。
この方法が合わないなら、違う方法を試す。
目的地までの道は、一つではない。
目的地そのものを変えてもいい
さらに言えば、途中で目的地を変えてもいいと思う。
車を走らせている途中で、
「やっぱり今日は海じゃなくて山に行こう」
となることもある。
そうしたら、新しい目的地を入れればいい。
目標も、一度決めたら絶対に変えてはいけないものではない。
実際に進んでみないと分からないこともある。
やってみたら、思っていたものと違った。
別のものの方が面白くなった。
昔は欲しかったものが、今はそれほど欲しくなくなった。
それなのに、
「一度決めたから」
という理由だけで同じ場所へ向かい続ける必要はない。
目標は、自分を縛るためのものではない。
自分が進む方向を決めるためのものだと思っている。
方向が変わったなら、目的地も変えればいい。
Route to Meにも、完成した地図はない
Route to Meでは、最終目標を決める。
その下に目標を作る。
さらにその下にも目標を作る。
そして最後に、実際の行動までつなげる。
でも、最初から全部決める必要はない。
むしろ、自分自身も最初から完璧な目標ツリーを作れることなんてほとんどない。
まず目的地を決める。
少し進む。
途中で、
「この前にこれが必要だ」
と気づいたら追加する。
違うと思ったら変える。
必要なくなった目標は消す。
進みながら道を作っていく。
だからRoute to Meにあるのは、完成した人生の地図ではない。
今の自分が考えているルートだ。
明日には少し変わっているかもしれない。
それでいいと思っている。
カーナビより面倒だけど
残念ながら、人生にはGoogle Mapsみたいなものはない。
目的地を入れたら、
「この道を12年進んでください」
なんて教えてくれない。
最短ルートも分からない。
到着予定時刻も出ない。
そもそも、その目的地が正解なのかも誰も教えてくれない。
だから、自分で決める。
自分で道を作る。
進んでみる。
違ったら直す。
また進む。
目標を作るというのは、未来の自分に絶対のルートを決めることではなくて、
今の自分が、
「とりあえず、こっちへ行ってみよう」
と決めることなのかもしれない。
目的地が変わったら、また設定し直せばいい。
道を間違えたら、再検索すればいい。
でも、どこへ行きたいのかだけは、自分で決める。
カーナビだって、
そこまでは決めてくれないから。